Multus #1 カント・オスティナート
インスタレーション・コンサート (2012年)
向井山朋子、ジャン・カルマン
photo: Kiriko Mechanicus
コンセプト
Multus(マルタス)」とは”多くの”、”増殖する”という意味を持つラテン語。 向井山は一方で増殖するピアノとピアニスト、もう一方で増殖する「規範」をテーマ に日本とオランダにおいてこのタイトルのコンサートシリーズを制作。向井山は音楽 を様々な側面からアプローチすることで知られているが、このシリーズ#2ではアム ステルダムの国立フィルム・センターの所蔵する1920年代の映像アーカイブを組 み合わせ、音楽を聴きながら映像によって視覚的な増殖を見つけ出すという経験をも たらした
Multus #1: Canto Ostinato マルタス#1:カント・オスティナート
シメオン・テン・ホルト作曲「カント・オスティナート」(1976年)はミニマル・ミュージックの古典的作品。この故オランダ人作曲家による作品はピアノによるある種の 儀礼のようでもある。1979年の初演以来、本曲は大きな成功を収めるとともに、今日 に至るまで世界中で演奏されてきた。「カント・オスティナート」はピアノソロとしても複数台のピアノによっても演奏可能であり、今までに最大で6人のピアニストによって演奏されたこともある。
向井山はコンサートの間、彼女がシェアする時間と空間を観客ともにし、対峙する。
彼女は照明デザイナーとして著名なジャン・カルマンとともに作り上げた簡素な照明インスタレーションをグランドピアノのまわりに配置する。このコンサートにとって一番よいのは、夜になる直前、夕闇に全てが消えていく時間帯に行われることだ。太陽の光が“デクレッシェンド(音楽用語で「だんだん弱く」の意)”するのに合わせ、照明インスタレーションはゆっくりと“クレッシェンド(だんだく強く)”の様
相を見せはじめる。
相互作用
来場する観客たちは、自分の家から照明を持ってきて、コンサート前に会場にセットすることを求められる。このことによって、彼ら自身がパフォーマーのひとりとなり、彼らの持ち込んだ照明がコンサートの間、照明デザインのプランを完成させる一助となる。
シミオン・テン・ホルト「カント・オスティナート」 (1976)
photo:kiriko Mechanicus
クレジット
コンセプト : 向井山朋子
音楽 : シミオン・テン・ホルト
ピアノ : 向井山朋子、ゲラルド・バウハウス
インスタレーション : ジャン・カルマン 向井山朋子
技術 : アンドレ・プロンク
制作 : 向井山朋子ファンデーション
助成
オランダ舞台芸術振興基金