略歴 日本語
向井山朋子(ピアニスト/美術家)
ピアニスト/アーティストとして、オランダ、日本、中南米を拠点に活動。演奏家としてフェスティバルやオーケストラと共演する傍ら、映像、舞台、インスタレーション、そしてサロンなど様々な形態作品を、劇場、美術館、映画館、野外、オンラインとあらゆる場所で展開している。そのテーマは女性性を核として、身体性、ジェンダー、境界、記憶、儀式、近年では家や家族を主題とした作品も多く手がけている。
主な発表作品
2000年
『 Amsterdam ×Tokyo 』 オランダの4都市と東京(青山スパイラルホール)で行われたピアノコンサート。建築家グループ・デジタルPBXとコラボレーションした会場デザインは真白い空間に天井から金魚が1匹ずつ泳ぐ透明の袋がマトリックス状に無数に吊りさげられて話題となった。
2005年
オランダでの初演後世界各国を巡回した、たった一人の観客ためのピアノリサイタル 『 for you 』 (第2回横浜トリエンナーレ参加作品)は、観客とコンサートの定義を巡り論議を呼ぶ。
2006年
シドニービエンナーレで光、ピアノとノイズを使った 『 you and bach 』 を発表。
振付家イリ・キリアン/ネザーランドダンスシアターとの共同作品 『 Tar and Feathers 』 (2006年初演)は好評を博し、その後ノルウェー国立バレエ、ボストンバレエ、パリ・オペラ座バレエ団等と共演。
2007年
デザイナー、クラヴァース・ファン・エンゲレンとの共同制作 『 show me your second face 』 は「ファッションと音楽の融合」と高い評価を受ける。
同年、日本で初演した観客参加型の企画 『 夏の旅―シューベ ルトとまちの音 』 は欧州と米国で展開。
オランダに「向井山朋子ファンデーション」を設立。
2009年
越後妻有トリエンナーレで発表した12,000着の絹のドレスと経血とピアノ作品が織りなす壮大なプロジェクト 『wasted』 は世界中から1000人の女性たちが参加。その過程はドキュメンタリー映画『白い迷路』として記録され、オランダ、インドネシア、アメリカなど世界を巡回。
2011年
東北芸術工科大学の招きで津波によって損なわれた2台のピアノによるインスタレーション 『 夜想曲 』 を発表。その後、瀬戸内芸術祭(2013年)やオランダ・フェスティバル(2014年)にも巡回。
2012年
ダンストリエンナーレトーキョーとの共同制作でダンス作品 『 シロクロ 』 を初演し、韓国・欧州でも公演。
2014年10月には、オランダ国内の年間ベストダンス・パフォーマンス賞Dioraphte Dance Awardを受賞した。
2013年
あいちトリエンナーレにてイリ・キリアンによる舞台 『 EAST SHADOW 』 の音楽を担当。
照明デザイナーのジャン・カルマンと恊働し岡崎市の使われなくなったショッピングセンターを舞台にしたインスタレーション・パフォーマンス 『 FALLING 』 が好評を得る。
2014年〜2015年
イスラエル/オランダのダンス・カンパニーClub Guy & Roniとともに 『 My private Odyssey 』 を発表。ドイツ・オランダ各地を30箇所を巡回した。
メキシコ・NYでもソロリサイタルを開催。
2016年
オランダのテルスヘリング島で開かれるウーロル・フェスティバルにて安部公房の同名小説をタイトルに持つ『砂の女』を発表。砂丘にグランド・ピアノを設置し、中国系デザイナー ティン・ゴンによる衣装/インスタレーションを舞台美術にしたパフォーマンスを行った。
「ファッション」をテーマに掲げた舞台作品 『 La Mode 』 を発表。本作品は台湾・台中に2016年秋開館した台中国立歌劇院のこけら落とし公演の後、ダンスニューエアーの参加プログラムとして東京で公演。向井山朋子はピアノ演奏と芸術監督を努め、伊東豊雄建築設計事務所とテキスタイルデザイナーの安東陽子による舞台美術空間の中で、イタリア・ローマを拠点とするスペルバウンド・コンテンポラリーバレエのダンサーらがパフォーマンスを行い、舞台上での音楽・ダンス・インスタレーションが一体となり、「ファッション」という哲学に独自のアプローチを示した。
インスタレーション&パフォーマンス 『 HOME 』 を発表。 向井山朋子が演出、音楽、映像、元NDTの日本人ダンサー湯浅永麻のパフォーマンス、遠藤豊がテクニカルディレクションを手掛けてオランダのフローニンゲンでのノーデルゾン・パフォーミング・フェスティバル、さいたまトリエンナーレ、ハーグのコルゾシアターにて上演。
2017年
オランダ、メキシコ、フランス(リヨン・オペラ座)、台湾にて演奏後、10月には東京・原美術館、九州でソロコンサートツアー。
2018年
ウーロル・フェスティバル、高知県立美術館との共同制作で、自然、儀式を融合した作品『雅歌』をCo.山田うんを招いて制作、発表。『雅歌』を題材に、初めての映画制作を手掛ける
ガウデアムス・フェスティバルで発表される新ミュージック・シアター『ME, Peer Gynt』の演出、舞台美術,演奏を担当。
2019年
銀座メゾンエルメスフォーラムエルメスギャラリーで『ピアニスト』展を開催。連日1時間ずつの時差をともなう24日間、全24回連続の全期間で約8000人を動員。
2020年
コロナ禍で劇場が閉鎖するなか、チームと共にいち早く発表の場をオンラインで開拓、『A Live』ライブストリーミングシリーズを3作発表。
映画人レニエ・ヴァン・ブルムレンとともに光のインスタレーション・コンサート『End and Beginning』を制作、オランダツアー。
2021年
閉館間際の原美術館を舞台に音楽短編映画『TWO-in transit Hara Museum』を、森山未來を招き制作、オンライン配信。
向井山の故郷でもある現実と非現実、身体と精神、神聖と穢れが混沌と共存する熊野からインスピレーションを得て、極私的な視点で熊野の世界を再構築したコンサート&ビジュアルインスタレーション作品『KUMANO』を発表。
八戸市美術館の開館記念プロジェクトとして八戸市民と音楽パフォーマンス作品『gift』を制作、上演。
2022年
各地域で活動する女性アーティスト、工芸家、クリエイターの魅力を活かした、ヴィジョンを持つ若い世代 が主宰する自治体/NPO との連携で人材育成、地域全体の向上、新しい観客のアウトリーチを試みる新しいコンサートツアー『Love Song』を実施。
2023年
ウクライナ・オランダ人作曲家マキシム・シャリギンが作曲した 4 台のピアノのための作品『Delirium』をア ムステルダム Muziekgebouw aan ‘t IJ にて初演、オランダツアー。
茅葺き職人相良郁也と協働したインスタレーションパフォーマンス『figurante』を国際アートフェア — Tokyo Gendai TENNOZ ART WEEK 2023 のメインプログラムとして寺田倉庫にて発表。
ピアニスト、作曲家、陶芸家、染色家によって紡ぎ出される、体のすべての感覚を研ぎ澄ます朝食の儀式である『EAT』を開始。
人形浄瑠璃とデジタル技術を融合させ、人間の深い感情と文学的想像力を重ね合わせた作品『SADO』を発表。人形遣い西橋八郎兵衛と協働、古典的な舞台芸術に電子音楽や3Dアニメーションを融合させ、新たな表現を生み出した。